
一つ一つの製品に多くの時間と職人の想いが詰まっています・・・。
高田製作所の現場では、熱心な若い職人たちと、彼らを見守りながら、
長年の経験や勘を実地で指導、伝えていこうとする先輩たちとの熱い交流が、日々行われています。
ここでは高田製作所が主に行っている、砂型鋳造による製品の製造工程をご紹介します。


砂型は原型とその周囲に砂を押し付けて型をとる手法です。枠の中に砂を敷き詰めてちょうど原型の表面が上下の型の接合面になるようにはじめに、製品の型を砂でつくっていきます。型は、できた製品が型から外れやすいように「上」と「下」に分かれています。
型を設計する際に必ず考えなければならないことがあります。まず、溶けて液体になった金属(湯)を型に流し込むための注ぎ口「湯口」や、湯口から型までの間、湯がしっかり型の隅々に行き渡るように考慮された、湯の通り道「湯道」の設計も、型の中に組み入れて設計します。また、金属は「冷えて固まるときに縮む」という特性があるので、型は必ず「縮みしろ」を考慮してつくります。縮みしろは、真鍮ならば1,000分の15㍉、アルミニウムならば1,000分の12㍉と、金属の種類によって異なり、また製品の大きさが30cmを超えるごとに1,000分の7㍉ずつ変形するといわれていて、高度な計算を必要とします。型を作る時にこういったことを配慮しなければ、精巧な製品ができないのです。花瓶や徳利やつぼなど、中に空洞部分のある製品をつくるときは、空洞部分を型にした「中子」(ナカゴ)を外枠の鋳型と組み合わせて、湯を流し込みます。製品から型を外す際、ほろっと崩れて空洞になるよう、中子は製品の外枠の型をつくったものとは成分の違う砂でつくられます。





純度の高い安定した成分の鋳物製品を作るために、金属の中の不純物や素(金属の中に含まれる偏った空気の層)を除去する作業「精錬作業」を行っていきます。
まず、インゴット(鋳塊)の形状で仕入れた金属を、ガス炉、または高周波電気炉の中で溶かします。
真鍮は100℃、アルミニウムは1100℃、錫は280℃と、それぞれの沸点まで温度を上げます。沸点に到達したら、今度は鉄製の撹拌棒で、溶けて液体になっている金属を、力を入れてかき混ぜるのですが、棒自体が重くかなりコツがいります。金属を空気に触れさせて、金属中の不純物を上に浮き上がらせるのです。
浮き上がってきた不純物は、大きなお玉で掬い取ります。撹拌しているうち、棒が熱くなって持てなくなるので、棒を取り替えながら、撹拌と上澄み除去作業をひたすら繰り返していきます。これは、その日によって金属の状態が微妙に違うので、掻き混ぜ方そのものも日によって変えなければならず、毎日作業をしている者でも筋肉痛を起こすくらい大変な作業です。
不純物が取り除かれたら、今度は金属中の気泡=ピンホール(素)を除去するため、薬品などを混入します。薬品が水蒸気爆発を起こし上に上がってくる時に、金属中のピンホールも一緒に上に上げてくれるのです。それを先ほどのお玉を使って取り除いていきます。
ここで、金属が安定した素材として完成したかどうか、試験片(テストピース)をつくって調べます。試験片は、なるべく通常の製品によく用いられ、しかも鋳物として難易度の高い形状が理想的。高田製作所の試験片には、流し込んだ金属がたまってしまいやすい場所、薄かったり、厚かったりして形がはっきり出にくい箇所があります。試験片を作ったら、巨大なハンマーで叩き割り、肉厚の厚い部分の断面に酸化物やピンホールができていないか、目でしっかり確認していきます。また、金属の目がつまっているかどうか断面を顕微鏡でも調べます。
もし、不純物が見つかった場合は、また精錬作業を繰り返し、不純物が見つからなかった場合は、温度を保ちながら沈静化させます。沈静させている間、空気に触れている面には、精錬作業でも取り切れなかった不純物が自然にポツポツと上がってきます。
最後にもう一度、上澄みをお玉で捨てたら、湯の精錬作業は終了。注湯作業にうつります。



いよいよ金属を型に流し込む「注湯作業」です。
炉の中の金属を「とりべ」という注ぎ口の付いた大きなバケツのようなものに移して、二人がかりで型の湯口に流し込みます。
湯を流し込む勢いは、製品によって違います。肉厚の薄いものに対しては、勢いよく流し込みます。重力を利用して勢いをつけたり、湯口から型までの道を狭く細くし、勢いをつけて流し込むことで、型の隅々にまで湯が行き渡るようにするのです。
逆に、肉厚の厚いものや器のように製品自体に高さのあるものは、ゆっくりと流し込みます。
湯口を工夫し、重力を利用して圧力をかけ、型の一番下まで湯が行き渡るように注ぎます。
シロカネブランドの錫製品は、肉厚が薄く、しかも器として高さがある製品が多いので、注ぎ方に微妙な加減が必要となり、とても難しい作業になります。


注湯した後、約20分間、除冷します。この間、無理に取り出すと、製品が曲がったり、型が欠けて欠陥の原因になります。除冷が完了したら、製品を型からはずします。繊細な文様の入った製品や薄い製品は一つずつ手で取り出し、この後に加工工程があって、ここで傷がついても問題のないものは、機械で型全体を振動させ、砂と製品を自動的に分けます。この一連の作業を、手作業でも自動でも両方行える会社は、他にはありません。型に使っていた砂は、全自動のベルトコンベアで50tタンクに集められ、そこで遠心力をかけながら、再び利用する砂と不純物とに分けていきます。きれいになった砂は、水分や粒子の調整を行って再び利用します。




工業製品など、同心円形状の規則的な曲線でできた製品は、鋳物製品の表面を、旋盤機械を使って人工ダイヤなどの刃物で削っていきます。同心円以外のランダムな自由曲線でできた製品は、手作業で削ることになります。
機械で切削する場合は、製品の外側を削る機械と内側を削る機械、2種類の2台で削っていきます。それぞれの機械に、平面図や立体図面からプログラムを入力して作業を行っていくわけです。しかし、たとえここで、正確なプログラムを入力したとしても、それだけでは機械を完璧に操作することはできません。ここが難しいところです。刃物を回転させるスピードや、刃物を傷めないための削り方の知識は、やはり、経験や長年の勘がモノを言います。
切削加工をするときに忘れてはならないものがあります。それが「ジグ」(加工するときに製品を固定させておくための爪)です。製品を切削するためには、製品それぞれにあった専用の「ジグ」が必要ですが、高田製作所では、一個のジグを、製品に合わせて調整修正して使うのではなく、前もって一つの製品に一つの専用ジグを製作しています。ジグの製作能力に関係なく、誰でも作業準備が行え、作業の質の均一化や効率化にもつながっています。
アルミニウムや銅は、粘性がある柔らかい金属であるため、切削する時に摩擦熱が発生するので、常に冷却水をかけながら切削します。さらにアルミや銅は、切削したときに出た切削粉が弧を描きながら糸のように出てきてしまい、刃物や製品に巻きついて故障の原因になるので、作業員はこまめに機械とその周りを清掃しながら作業を行います。
高田製作所では10個に1個、抜き取り検査をし、寸法誤差がでないよう機械を監視しています。製品の中には、100分の1ミリの誤差も許されないものもありますので、細心の注意が必要です。




製品は、最終仕上げの研磨加工の工程に入ります。鋳型から取り出した時の金属の表面を「鋳肌」といいます。工業製品など、同心円状の形状は機械を使って鋳肌を磨けますが、花瓶など自由曲線(ランダムなラインで構成された製品)でつくられた製品を磨き上げることができるのは、人の手だけです。すべてを手作業で行う造形や仕上げ加工は、とても難しい作業になります。
作業者には、スピード、正確さ、豊かな造形力と感性が必要とされます。また、ステンレスなどの硬い金属素材は、力まかせにがんがん磨いても大丈夫ですが、高田製作所が扱う銅や真鍮やアルミニウムは、柔らかい金属素材なので、力まかせに磨くと変形してしまいます。力加減や配分を考え、優しく造形していかなければなりません。このあたりも技術を要するところです。
手作業による加工工程では、まず、グラインダーという機械に円盤状のサンドペーパーをセットし、高速回転させているところに、製品を手で押し当てながら、鋳肌を粗削りしていきます。そのあと、砂バフをセットし、高速回転させて研磨していきます。砂バフとは、円盤状の煮皮に細かい砂を塗りつけたものです。サンドペーパーやバフは、直径や厚さ、目の粗さなど、素材の種類が一つひとつ異なります。
それぞれの仕上がりの状態にあわせ、一つの製品に、粗目から細かい目までの何種類ものサンドペーパーやバフを使います。この工程で、「鋳肌の風合いを生かした仕上げ」から「鏡のような鏡面仕上げ」まで、さまざまな最終仕上げ加工が行われます。
毎週金曜日、高田製作所では、次週の作業のための「バフの会議」があります。次週分の各製品の工程を確認し、その中で必要となるバフの準備を行うのです。その時バフは、ひとつひとつ丁寧に手作りされます。


社内でのすべての工程を経た製品は、ここで刻印を押されます。
私たち作り手の感慨もひとしおです。
刻印・・・それは、一塊として運ばれた金属が、多くの時間と幾人もの人の手を経て、想いを吹き込まれ、まさに、この高田製作所で、鋳物としての新しい生命を受ける瞬間です。


高田製作所では、金属の精錬、鋳物から切削、研磨仕上げまでを社内で一貫して製作しています。焼付け塗装仕上、アルマイト仕上、古代色染色、各種メッキ仕上げは、各協力工場にて完成させています。
アルミニウム製品は、アルマイト仕上の後、焼付け塗装を行います。
焼付け塗装には、アクリル、ウレタン、フッ素があり、クリア塗装においては、最高で6Hの硬度をご用意できます。
銅・黄銅製品は、青銅、煮色、黒四部一などの古代色仕上げや、本金メッキ、ニッケルクロムメッキなど、装飾品から工業製品まで幅広く対応。鋳物の段階から最終仕上げにあわせてそれぞれ専用の方法で地金を精錬しています。
錫製品は、バレル研磨などの作業を、社内、協力工場にて行っています。
近年は金属そのものの美しさと経年変化をお楽しみになる本物志向のお客様が増えてまいりました。そんなお客様には、シリコン系のオイルフィニッシュを施した生地仕上げもご提供しています。